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配色というか、色の使い方は基本的にすごく難しいものだと思っています。デザインの仕事を始めた頃、すごく偉いアートディレクターの方が「究極、配色や色使いは教えられない」というようなことを言っていて、当時は「そんなこと言うんや」とちょっと思いました。ただ、長くこの仕事をやっていると、確かに最初からできる人もいれば、40歳を過ぎても苦手なままの人もいる。それは結局、事実なのかなと感じています。
とはいえ、「センスだ」で終わってしまうと、結局仕事になりません。だからできる限りの努力をして、100点や人一倍優れたレベルまでいかなくても、コンスタントに70点・80点を取れるようになる。それがプロだという気もしていて、多くの人が目指すべきはここじゃないかと思っています。逆に、色や配色について人一倍優れていると評価されているなら、それは自分で思っている以上に強みになっている可能性が高い。そういう人は、自分の中での評価をもう少し上げてもいいと思います。
この記事では、その「目を肥やす」ための本を、実際に採用やアサインでポートフォリオを見てきた立場から選んで並べます。ちなみに全部、書名・著者・発売日は版元で確認したうえで載せています。
目次
まず一冊、手元に置いておく本
配色アイデア手帖〔完全保存版〕第2版
桜井輝子/SBクリエイティブ/2023年8月
とりあえず一冊買っておけばいい、という感じです。困った時にパラパラ見るだけでも良くて、やや辞書的ではありますが、いろんなパターンを見て頭を整理したりインプットしたりするために手元に置いておく、と考えると、まずこれを選ばない手はないと思います。「完全保存版」と自分で言っているだけあって、その看板に偽りなしですね。
初心者〜実務で、まず使える本
見てわかる、迷わず決まる配色アイデア 3色だけでセンスのいい色
ingectar-e/インプレス/2020年6月
実用的といえば実用的、いや、むしろかなり実用的です。特にアプリのように色数をそもそも使う余地があまりないものだと、片手で収まるぐらいの色でいろいろやらないといけません。その時に「赤は警告色」「青や緑は成功の色」みたいなUIカラーだけになって、つまらなくなりがちなところを、こういう引き出しを持っておくことで、UIとしてのガイドもできるし、いい雰囲気も伝えられる武器になります。表紙のマカロン、なかなか「ええやん」と思いますね。
COLOR DESIGN カラー別配色デザインブック
COLOR DESIGN カラー別配色デザインブック(Amazon)
ingectar-e/KADOKAWA/2021年2月
これも実用度がすごく高いです。多くの場合、企業ロゴのようなものが最初にあって、その色は絶対に使う、と決まっていることが多い。そうなると「あと何色を選ぶか」という話になるので、この本は置いておいて損はないです。実際、案件でこういう選び方をすることは多いですね。
引き出しを増やす、見本の量で勝負する本
配色デザインインスピレーションブック
Power Design Inc./ソシム/2018年7月
これも実例が多くて、すごくいいと思っています。配色は無限に組み合わせが作れてしまうので、結局いろんな配色例をたくさん見るほうがいいんだな、と改めて思いました。余談ですが、これはAIへのインプットとしても使えて、マルチモーダルでこういう例をパッと渡す、みたいな使い方も良いかもしれません。
配色パターンブック 写真からつくる美しい配色1000
ユーリ・ロマニュク/BNN/2022年1月
これもかなり実用的です。ただ、この本を見ている時に思ったのですが、紙のカタログとして見るのもいい一方で、いっそウェブ版で作ってくれたら、と思いました。そこからスクショを撮ったり、RGBの数値をそのままコピペできたりすると便利ですよね。まあ、そうすると出版社としては売れなくなって困るから、やらないのかもしれませんが。
「なぜこの配色か」を、理屈と実例で押さえる本
配色デザイン見本帳
伊達千代/MdN(インプレス)/2014年10月
12年売られ続けている本には、やっぱりそれなりの意味があると思います。理屈寄りの本ですが、だからこそ古びない、新しい時代の波にも残っていける、という類の一冊ですね。こういう本はAmazonだと中古も出回っていたりするので、もし出ていたらラッキーくらいの気持ちで買ってしまえばいいと思います。もちろん新品もおすすめです。
デザイン配色解剖 メインカラーで魅せるレイアウト実例集
桜井輝子(監修)・デザインノート編集部/誠文堂新光社/2021年12月
実際のプロダクトやアウトプットから、それを配色のレイヤーに抽象化する。これは作品を見たり、解析したり、人に説明したりする時に必要な、少し高度な能力だと思います。この本は、それを実際にどう見ていけばいいのかを提示してくれます。特に、自分が作るだけでなく人に説明しないといけない時などは、こういう考え方を持っておくほうが、相手の納得度が高まる気がします。
配色の設計 色の知覚と相互作用(Interaction of Color)
配色の設計(Interaction of Color)(Amazon)
ジョセフ・アルバース(永原康史 監訳)/BNN/2016年6月
時の試練を経た本はすごい、という話でいうと、これは半世紀以上前に書かれた本なので、もう最強の一冊という感じです。今日の仕事にすぐ役立つかというと、それなら他の本がいろいろあると思いますが、ここに書かれていることは理屈として知っておいて損はないですし、意外と網羅的に全部理解している人は少ないんじゃないかと思います。
配色の教科書 歴史上の学者・アーティストに学ぶ「美しい配色」のしくみ
色彩文化研究会・城一夫(監修)/パイインターナショナル/2018年9月
これは、いわゆる教養本ですね。実務に役立たないとまでは言いませんが、「そういうものか」と知っておくのは良いと思います。大学の授業でやりそうな内容で、美大に行くとこういうことをやるんじゃないでしょうか。まあ、行ってないから分からへんけど。
新刊と、和の配色
STORY COLOR BOOK 物語を感じる配色アイデア
桜井輝子/インプレス/2024年11月
こういう切り口があったんや、と最初に本を見た時はちょっとびっくりしました。でも物語性というのは結構いろんなところで言われますし、特にイラストだと、一枚の絵の中から世界観を感じられることはすごく重要で。そういう時にこういう考え方が使えるんだな、と思いました。とにかく切り口が斬新で、こういう本は見たことがないので、その方向のことをやりたい人は、一回手に取ってみてもいいと思います。
配色アイデア手帖 世界を彩る色と文化/日本の美しい色と言葉(各〔完全保存版〕第2版)
世界を彩る色と文化 第2版(Amazon) / 日本の美しい色と言葉 第2版(Amazon)
桜井輝子/SBクリエイティブ/2025年3月・2024年12月
この2冊は、表紙が似ている通りセットで、同じシリーズです。これも辞書的に使っていける、まさに完全保存版系ですね。まだまだ部数は伸び続けるんじゃないでしょうか。この類の本は、一旦こういう完全版が出てしまえば、よほど変なトレンドに乗らない限りずっと使い続けられるので、保存版として持っておくといいと思います。違いはシンプルで、「世界を彩る色と文化」は国や文化から、「日本の美しい色と言葉」は和の伝統色から引ける、という感じです。
配色の本えらび、よくある質問
配色ってセンスがないと無理ですか?
正直、最初からできる人もいれば、40歳過ぎても苦手なままの人もいる。それは事実。でも「センスだ」で終わると仕事にならないので、勉強してコンスタントに70点〜80点を取れるようになる、それがプロだと思ってます。見本をたくさん見て「目を肥やす」のが結局いちばんの近道。
まず1冊だけ買うなら?
配色アイデア手帖ですね。困った時にパラパラ見るだけでも効くし、辞書的に手元に置いておける。とりあえず一冊買っとけって感じです。
AI時代に配色の本っているの?
むしろいると思う。AIが例やプロトタイプは作ってくれるけど、そこから「いい配色を選び取る」のは実はAIには難しい。目を肥やすのは人間の仕事で、しかもこれはデザイナーだけじゃなく、ディレクターやクライアントでも身につけられる能力なので。
最後に
AI時代、いろんな例やプロトタイプはAIが作ってくれる、というのは皆さんご存知の通りです。ただ、実はそこから「いい配色を選び取る」のは、AIには難しいのではないかと個人的には思っています。昔からよく言う言い方をすれば「目を肥やす」ということで、いろいろ勉強して、いい配色を選び取れる目を作っていくのは、すごくいいことだと思います。
そしてこの能力は、実はデザイナーだけのものではありません。ディレクターでもいいし、場合によっては消費者やクライアントでも身につけられる。だから結局、勉強してインプットを増やす必要がある、というのは変わらないですし、それはちゃんと報われることなんじゃないかなと、やっぱり思いますね。
デザインの本えらびは、UI/UXデザインを学べる本やAI×デザインを学べる本のほうも。
※Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。書籍情報は2026年7月時点で各版元・書誌データベースにて確認しています。










