「配色がどうしても垢抜けない」「色選びにいつも自信が持てない」——デザインを学ぶ人からも、実際に採用面接に来るデザイナーからも、配色の悩みは本当によく聞きます。配色は独学で伸ばしやすい分野である一方、感覚だけでやっていると頭打ちになりやすい領域でもあります。
私はデザイン会社で採用・アサインを担当していて、たくさんのポートフォリオを見てきました。その経験から言うと、配色が強い人は「見本のストックが多い人」か「なぜその配色なのかを言葉で説明できる人」のどちらか、理想はその両方です。この記事では、その両輪が育つ配色・カラーデザインの本を12冊、2024〜2025年の新刊も交えて厳選しました。
配色本のまとめ記事はたくさんありますが、そのほとんどは「学ぶ人」目線です。この記事は「採用・アサインする側=評価する側」から見て、どの本が"伸びるデザイナー"を育てるかという切り口で選んでいます。
この記事の書籍データについて
掲載した全12冊は、書名・著者・発売日・書影を一次情報(版元・書誌データベース)で個別に確認済みです。実在しない本や推測情報は載せていません。
配色本の選び方|採用・アサイン担当が見る4つの基準
配色本は大きく「見本帳タイプ」と「理論タイプ」に分かれます。どちらが良い悪いではなく、目的で選ぶのが正解です。私が本を評価するときの4つの基準を共有します。
基準1:見本の量とカラーコードの掲載
すぐ実務で使いたいなら、配色見本が多く、CMYK/RGB/HEXのカラーコードが載っている本が正義。手を動かす頻度が上がります。
基準2:理論か、実践か
「なんとなく良い」から抜け出したいなら理論本。まず量産の手数を増やしたいなら見本帳。初学者は見本帳から入り、伸び悩んだら理論本、が王道です。
基準3:自分のレベルに合っているか
未経験者がいきなり色彩理論の古典に行くと挫折します。逆に中級者が見本帳だけ眺めても伸びません。
基準4:「なぜその配色か」を言語化できるか
これは評価する側ならではの視点。面接で「この配色にした理由は?」と聞いたときに答えられる人は、理論の裏付けがある本を消化しています。
【比較表】配色・カラーデザイン本12冊 早見表
「採用現場での使いどころ」列は、私が「どんな人に薦めるか/どんな力がつくか」を書いた、この記事だけの視点です。
| 書名 | タイプ | 学べること | 発売年 | 採用現場での使いどころ |
|---|---|---|---|---|
| 配色アイデア手帖[完全保存版]第2版 | 見本帳 | テーマ別3350配色 | 2023 | まず全員に薦める定番 |
| 3色だけでセンスのいい色 | 見本帳 | 3色に絞る考え方 | 2020 | 非デザイナー・初学者の入口 |
| COLOR DESIGN カラー別配色デザインブック | 見本帳 | メイン1色から組む | 2021 | 色から発想する練習 |
| 配色デザインインスピレーションブック | 見本帳 | 4199配色を直感で引く | 2018 | 引き出しの量を増やす |
| 配色パターンブック 写真からつくる配色1000 | 見本帳 | 写真起点の配色抽出 | 2022 | 写真から色を作る力 |
| 配色デザイン見本帳 | 見本+理論 | 基礎と考え方 | 2014 | 見本と理論の橋渡し |
| デザイン配色解剖 | 実例分解 | 実制作の配色を分解 | 2021 | 「なぜこの配色か」を学ぶ |
| 配色の設計(Interaction of Color) | 理論・古典 | 色の相互作用 | 2016 | 「見る目」を根本から鍛える |
| 配色の教科書 | 理論・教養 | 配色理論の歴史 | 2018 | 根拠を語る教養の土台 |
| STORY COLOR BOOK | 見本帳(新刊) | 物語・情景の配色 | 2024 | 世界観づくりの引き出し |
| 配色アイデア手帖 世界を彩る色と文化 第2版 | 見本帳(新刊) | 国・文化別の配色 | 2025 | 配色の幅と教養を広げる |
| 配色アイデア手帖 日本の美しい色と言葉 第2版 | 見本帳(新刊) | 和の伝統色 | 2024 | 和デザインの引き出し |
初心者・実務未経験に薦める配色本
まずは「量産の手数」を増やすフェーズ。理屈より先に、良い配色をたくさん浴びて、真似して手を動かすのが近道です。ここは見本帳から入りましょう。
1. 配色アイデア手帖 めくって見つける新しいデザインの本[完全保存版]第2版
桜井輝子/SBクリエイティブ/2023年8月/初級〜中級
配色本といえばまずこれ、というシリーズ累計40万部超の定番。テーマ別に3,350もの配色が並び、めくるだけでインスピレーションが湧きます。Photoshop・クリスタ用のスウォッチもダウンロードできるので、見て終わりでなくそのまま制作に使えるのが強い。1冊だけ買うならこれで間違いありません。
💬 採用担当のひとこと
配色に悩んでいる人にまず薦めるのはいつもこの本。手元に置いて引きながら作る習慣がつくと、配色のスピードと安定感が一気に変わります。ポートフォリオの色使いにも如実に出ます。
2. 見てわかる、迷わず決まる配色アイデア 3色だけでセンスのいい色
ingectar-e/インプレス/2020年6月/初級
25万部超のヒット作。「色数を絞る」という、初学者がいちばんつまずくポイントに正面から答えてくれます。3色に絞るだけでなぜセンス良く見えるのかが、豊富な作例でスッと入ってくる。色を盛りすぎて散らかってしまう人に、特に効きます。非デザイナーの方の最初の1冊にもおすすめ。
💬 採用担当のひとこと
初心者の作品がごちゃつく原因は、たいてい色の使いすぎ。この本の「絞る」考え方が身についている人は、それだけで完成度が一段上に見えます。
3. COLOR DESIGN カラー別配色デザインブック
COLOR DESIGN カラー別配色デザインブックをAmazonで見る
ingectar-e/KADOKAWA/2021年2月/初級
「使いたいメインカラーは決まっているけど、あと2色が決まらない」を解決してくれる本。メインの1色を起点に、組み合わせでイメージを作る構成なので、実務での「この色を軸に」という依頼にそのまま応えられます。色から発想する練習にもってこい。
💬 採用担当のひとこと
実務では「コーポレートカラーを軸に」といった制約付きの配色がほとんど。制約の中で組む練習ができるこの本は、実戦的で好感が持てます。
中級・引き出しを増やす配色本
基本の手数がついたら、次は引き出しの量と幅。手数が多いほど提案の幅が広がり、実務のスピードも上がります。大量の見本に触れて、自分のストックを増やしましょう。
4. 配色デザインインスピレーションブック
Power Design Inc./ソシム/2018年7月/初級〜中級
約4,199もの配色を、直感でパッと引ける実用書。シリーズ化されるほど人気で、机の端に置いておくと「もう1案ほしい」ときの引き出しになります。イメージワード(かわいい/上品/元気…)から探せるので、クライアントの要望を色に変換する橋渡しにも便利。
💬 採用担当のひとこと
提案の引き出しが1案しかない人と、3案パッと出せる人。実務での信頼はここで差がつきます。こういう見本帳を"引き倒している"人は強いです。
5. 配色パターンブック 写真からつくる美しい配色1000
ユーリ・ロマニュク/BNN/2022年1月/初級〜中級
写真から色を抽出して、3〜5色のパレットを約1,000パターン収録。CMYK/RGB/HEXが併記されているので、実務でそのまま使えます。「写真の雰囲気を配色に落とし込む」というプロがよくやる手順を、体系的に学べるのがこの本ならでは。ムードボードづくりにも効きます。
💬 採用担当のひとこと
写真1枚から世界観のある配色を組める人は、Web・グラフィック問わず重宝します。この"写真→配色"の変換ができる人は、ビジュアルの完成度が高い傾向。
6. 配色デザイン見本帳 配色の基礎と考え方が学べるガイドブック
伊達千代/MdN(インプレス)/2014年10月/初級〜中級
見本帳でありながら、配色の「基礎と考え方」もきちんと解説してくれるバランス型のロングセラー。見本だけの本から一歩進んで「なぜこの組み合わせが成立するのか」を知りたくなったときの橋渡しに最適です。刊行は少し前ですが、扱う内容が原理原則なので古びません。
💬 採用担当のひとこと
見本帳を"眺める"だけの人と、"理屈も分かって引く"人の差は大きい。この本はその移行にちょうどよく、次に紹介する理論本への良い助走になります。
「なぜこの配色か」を語れるようにする本
ここからが、採用の現場で"伸びる人"を分ける層。見本を真似るだけでなく、配色の根拠を自分の言葉で説明できると、提案が通り、面接でも一段上に見えます。実例の分解と、理論の古典です。
7. デザイン配色解剖 メインカラーで魅せるレイアウト実例集
桜井輝子(監修)・デザインノート編集部/誠文堂新光社/2021年12月/中級
実際のポスターやチラシなど350点超を、メインカラー別に「なぜこの配色で成立しているか」を分解してくれる実例集。見本帳が「答え」なら、この本は「解説付きの答案」。プロの完成品を逆算して読み解く訓練ができるので、真似から一歩進んで"応用が効く"配色力がつきます。
💬 採用担当のひとこと
「良い配色を真似できる」から「良い配色を説明できる」へ。この差は面接で一発で分かります。実例を分解する習慣がある人は、提案の言語化がうまい。
8. 配色の設計 色の知覚と相互作用(Interaction of Color)
配色の設計(Interaction of Color)をAmazonで見る
ジョセフ・アルバース(永原康史 監訳)/BNN/2016年6月/中級〜上級
バウハウスの流れをくむ色彩教育の古典。「同じ色でも隣り合う色で見え方が変わる」という色の相互作用を、実習を通じて"目で"理解させてくれます。カラーコードを覚える本ではなく、色を見る目そのものを鍛える本。歯ごたえはありますが、ここを通った人は配色の解像度が明確に上がります。
💬 採用担当のひとこと
即効性より地力の本。この古典を自分なりに咀嚼できている人は、流行に流されない配色の芯を持っています。中長期で伸びるタイプです。
9. 配色の教科書 歴史上の学者・アーティストに学ぶ「美しい配色」のしくみ
色彩文化研究会・城一夫(監修)/パイインターナショナル/2018年9月/中級
ニュートン、ゲーテ、シュヴルール、イッテンといった歴史上の学者・芸術家の色彩理論を、豊富な図版で通史的にたどれる一冊。「なぜこの配色が美しいと感じるのか」の背景を知ると、配色の説得力が根っこから変わります。理論を体系立てて教養として押さえたい人に。
💬 採用担当のひとこと
配色の"なぜ"を歴史から語れる人は、クライアントへの説明にも深みが出ます。感覚派で頭打ちになっている人が、次のステージに進むきっかけになる本です。
【2024〜2025新刊】いま出たばかりの配色本・和の配色
配色本は定番が強い分野ですが、最近の新刊にも良書が出ています。ここでは2024〜2025年の新刊と、日本人デザイナーの武器になる和の配色を紹介します。
10. STORY COLOR BOOK 物語を感じる配色アイデア
桜井輝子/インプレス/2024年11月/初級〜中級
2024年刊の新機軸。物語や情景から配色を引くという切り口で、世界観のあるビジュアルを作りたいときに効きます。イラスト・マンガ・MVなど、雰囲気づくりが重要な制作と相性が良い。定番の見本帳を一通りやった人が、表現の幅を広げるのにおすすめの一冊です。
💬 採用担当のひとこと
「きれいな配色」の先の「世界観のある配色」ができる人は希少。物語から色を起こす発想を持っている人は、作品に独自の空気感があります。
11. 配色アイデア手帖 世界を彩る色と文化[完全保存版]第2版
桜井輝子/SBクリエイティブ/2025年3月/初級〜中級
定番「配色アイデア手帖」シリーズの2025年最新刊。国・地域・文化をテーマに配色を引ける構成で、エスニックやトラベル系、多国籍な世界観の制作に強い。基本の手帖を持っている人が、配色の幅と教養を広げる2冊目としてぴったりです。もちろんカラーコードやスウォッチ特典も健在。
💬 採用担当のひとこと
文化的な背景を踏まえた配色ができる人は、引き出しの"深さ"を感じます。テーマに合わせて世界観を切り替えられる人は、幅広い案件を任せやすい。
12. 配色アイデア手帖 日本の美しい色と言葉[完全保存版]第2版
日本の美しい色と言葉[完全保存版]第2版をAmazonで見る
桜井輝子/SBクリエイティブ/2024年12月/初級〜中級
和の伝統色に特化した手帖シリーズの2024年最新版。日本の美しい色名と、それにまつわる言葉から配色を引けます。和菓子、日本酒、旅館、伝統工芸など、和のテイストが求められる案件は意外と多く、この引き出しがあると強い。日本人デザイナーならではの武器になる一冊です。
💬 採用担当のひとこと
和のデザインは、それっぽい色を並べるだけだと途端に安っぽくなります。伝統色を"言葉と背景ごと"理解している人の和デザインは、品が違います。
採用担当が本選びから見抜く「伸びるデザイナー」の共通点
ここまで12冊を紹介しましたが、採用・アサインの現場から見て、配色で伸びる人には共通点があります。本を選ぶとき・読むときの参考にしてください。
(1) 見本を「浴びて」いる
伸びる人は、良い配色に触れる絶対量が多い。手帖やインスピレーションブックを日常的に引いていて、引き出しが多いから提案が速く、幅も広い。
(2) 「なぜ」を一言で言える
「この配色にした理由は?」に、感覚でなく理屈で答えられる。実例分解(デザイン配色解剖)や理論(配色の設計・配色の教科書)を通った人は、ここが強い。
(3) 制約の中で組める
実務は「コーポレートカラー縛り」「ブランドガイド準拠」など制約だらけ。制約の中でベストを出せる人は、自由に作らせたとき以上に評価されます。
つまり配色本は、「見本で手数を増やす」→「実例と理論でなぜを語れるようにする」の順で使うのが王道。ぜひ手を動かしながら、自分のポートフォリオや制作に反映してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 独学に配色本は何冊必要ですか?
A. まずは見本帳を1冊、徹底的に使い倒すのが先決です。手数がついてきたら、実例分解や理論の本を1〜2冊足すと「なぜ」を語れるようになります。いきなり何冊も買うより、1冊を引き倒すほうが伸びます。
Q. 電子書籍と紙、配色学習に向くのはどちらですか?
A. 見本帳タイプは、パラパラめくって一覧できる紙が向いています。一方、カラーコードをコピペして使いたい場面では電子も便利。理論書はどちらでも問題ありません。用途で使い分けるのがおすすめです。
Q. デザイン未経験者はどの本から読むべきですか?
A. 『3色だけでセンスのいい色』か『配色アイデア手帖』から入るのが鉄板です。理屈より先に、良い配色をたくさん見て真似るところから始めましょう。
Q. 採用ポートフォリオの配色は本で伸ばせますか?
A. 伸ばせます。ただし「見本を並べる」だけでは不十分で、実例分解や理論を通して"なぜその配色か"を語れる状態まで持っていくと、ポートフォリオの説得力が大きく変わります。採用側は色の選択に理由があるかを見ています。
Q. 配色本と色彩検定、どちらを先にやるべきですか?
A. 実務で使う配色力を上げたいなら、まずは配色本で手を動かすのが近道です。色彩検定は知識を体系立てて証明するのに有効ですが、資格そのものより「作品に反映できているか」を採用側は重視します。
まとめ|目的別のイチオシ
- まず1冊なら→『配色アイデア手帖[完全保存版]第2版』
- 色を絞れず悩むなら→『3色だけでセンスのいい色』
- 「なぜ」を語れるようになりたいなら→『デザイン配色解剖』+『配色の設計』
配色は、才能ではなく「見た量」と「言語化」で伸ばせる分野です。まず1冊、引き倒すところから始めてみてください。
あわせて、デザインの本選びはこちらも参考にどうぞ。
※本記事はAmazonアソシエイト・プログラムに参加しています。書籍情報は2026年7月時点で各版元・書誌データベースにて確認したものです。価格・在庫は変動する場合があります。
![配色アイデア手帖 めくって見つける新しいデザインの本[完全保存版]第2版](https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/P/4815619042.09._SCLZZZZZZZ_.jpg)









![配色アイデア手帖 世界を彩る色と文化[完全保存版]第2版](https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/P/4815626782.09._SCLZZZZZZZ_.jpg)
![配色アイデア手帖 日本の美しい色と言葉[完全保存版]第2版](https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/P/4815626774.09._SCLZZZZZZZ_.jpg)